スピッツ 14th album「小さな生き物」を聴いて
2013年09月11日(水)スピッツ14枚目のオリジナルアルバム「小さな生き物」が発売された。
そして、2013年9月28日からTSUTAYAでレンタル開始。
小さな生き物 【デラックスエディション(完全数量限定生産盤)】(SHM-CD + 2Blu-ray)
- アーティスト: スピッツ
- 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
- 発売日: 2013/09/11
- メディア: CD
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前作『とげまる』(2010年)から同じ3年というスパンを経てリリースされた今作。それでいて全く違うテイストに仕上がっている。
発売日よりレンタル開始に合わせて記事を書いた方が、読んでいただけると嬉しい層に届く気がしたから、このタイミングでの投下です。
キャリア25年が放つ意欲作
「どの曲を聴かれてもハズレがないように」といった趣旨のもと半ば作品集でオリジナルアルバムとしてあまり機能しなかった『とげまる』(2010年)に対して、『小さな生き物』はアルバム1つとして聴ける、流れを感じた1枚だった。
使い古されたメロディと、使い古されたアレンジ、いつも通りサウンド、演奏。
―ステレオタイプなスピッツの世界観は良くも悪くもいつも通り。
それでいて、こうやって新作を耳にすると何か新しい音楽に出会えるのは、25年以上も一線で活躍するロックバンドとして奇跡だと思わざるを得ない。
『小さな生き物』は根っこを変えずにマイナーチェンジを遂げる、大御所が魅せる意欲作だと思う。
製作期間が短い
製作期間が約1年と短い今作は、分かりやすく草野マサムネ氏の今の心境に影響されたという印象。もちろん、スピッツは直接的に今の時代や社会問題に触れたりしたい。それでも分かる"何か"を誰でも感じ取れるはず。もっとも、先行シングル『さらさら』の「悲しみは忘れないまま」と何度も繰り返すその歌詞に(本人も認めてけど)スピッツが奏でる「震災後の音楽」が有ることを5月の段階で予見できた。
「さざなみCD」(2007年)のように2年・3年かえて満を持してリリースしますという期待値を抱くよりは、今のスピッツの衝迫・衝撞を録音物にありつける心持でいてると、より楽しめるのでは?
現に、よっぽどスピッツが好きな人やROCK IN JAPAN FES 2012、ap bank fes 12等の夏フェスで運よくライブを観れた人以外、前作リリース後、もっと言えば311後の彼らの消息は不明だったはず。
歌詞はどうだろう。
今作を聴いて「うーん」と思う人もいるのかもしれない。個人的には『スーベニア』(2005年)以降の作品として、世界観は横並びかなと考えているので気にならなかった。
- デートに向かない坂道を君の手を引き駆けて行く(オパピニア)
- 意外なオチに懸けている(エンドロールには早すぎる)
あたりで、クスっとできる辺り まだまだスピッツファンでいられると感じた
プロディーサー亀田誠治氏との関係は?
スピッツとは全く関係なく、いきものがかりの新譜『I』の初回限定DVDを視聴したところ、亀田氏本人によるプロデュースについての話があった。大体の趣旨は「いきものがかりはアレンジの余地を与えてくれるけど(スピッツは)自分たちでガッチリ曲を完成させてくるから僕が介入する余地がない」といったもの。
たしかに、今作、あるいは前作から過度なアレンジはなくなったように思う。
介入の余地がないゆえに、亀田氏がアレンジを担当するから「りありてぃ」「エンドロールには早すぎる」における分かりやすい使い古されたアレンジが落とし込まれているんだなと納得。
個人的には、『三日月ロック』(2002年)以降のアレンジに大きく不満を持ったことはないけど本当に潮時なんじゃないかとしか思わざるを得ない状況だと思う。今のスピッツがドコを目指すにか、どういったスタンスで活動していくのかにもよるけど。
いろいろ言ったけど、今作に関してはプロディーサーとして亀田氏のアレンジは見事に落とし込まれていました。
最後にアルバムレビューもどき
この曲を1曲目に持ってくる辺り、メンバーの心境を代弁するかのようなスタート。
後半にいくにつれて高揚する世界観が癖になる。
タイトル曲。
3分ちょっとっていうのがまた良い。
シリアスな世界から突き上げるようなアルバムの流れ。
ライブでは盛り上がるでしょう!
アルバムに1曲ありそうな箸休め的ポジション。
ストレートな歌詞に、シンプルな演奏がボーカルを引き立てます。
ザ・スピッツ節全開のチューン、 「デートに向かない坂道」な辺りスピッツ。
2番のBメロは面白い旋律に。
「オパピニア」からの流れが素晴らしい。
やはりアルバムに収まっても存在感あります。
バックコーラスにフラワーカンパニーズのメンバーと亀田誠治氏が参加している。
キレキレの演奏が際立つ草野マサムネ作曲のインスト曲。
実はメンバーの演奏で録音したインスト曲って初めて?
打ち込みで作れたこの曲は、ライブ映えしそう。
本編ラスト、あるいはアンコールの定番に名乗り出る?
90年代のアルバムを思います。
アルバムの後半にこういう感じでポツンと1曲ある感じ。
熱の入ったボーカルが印象的。
これまた3分ちょっとの中に大きな世界が詰まっている。
ファンクラブツアーで披露された曲。 実際スタジオ音源になって聴いてみると当初危惧していたような問題はない。いつものスピッツワールドに安堵(笑)
シングル時とは違う顔を見せる、アルバムを締めくくるに相応しい1曲。
そして、ボーナストラック「エスぺランザ」の存在感に驚く。
エスぺランザ(:希望)というタイトルにこのメロディと歌詞を乗せてくるあたり、ただモノじゃない。
レンタルして損はない、新しいのに何処か懐かしい、
スピッツの世界観を楽しめると思います。