20150605(Mr.Children『REFLECTION』を聴いた。)

Mr.Childrenはもう「終わってしまった」バンドだと諦めていた。

REFLECTION{Drip}初回盤

REFLECTION{Drip}初回盤

 

 『HOME(2006年)』以降の彼らの歩みは、国民的ロックバンドという称号を確固たるものにした歩みだった。「彩り」「しるし」「GIFT」「365日」「fanfare」「常套句」――どれも良い曲だ。でも、良い曲でしかなかった。心をえぐられる様な感覚、感動や衝撃やそういった感情の揺さぶりの天秤に一切触れることがない。バンドとしてのアイデンティティが行方不明だったと思わざるを得なかった。少なくとも、僕はそう感じていた。

彼らの目指していたPOPSAURUSの姿がこれだったのかと思うとやりきれなかった。

もう1つ、音楽(サウンド)がとても退屈で、単調で、残念としか形容できないものなっていった。これが最も彼らを「諦めた」理由だった。プロディ―サ―の小林武史がライブに参加するようになり、彼は「アレンジャー」「プレイヤー」としての立場に境目がなくなってしまった。過剰なプレイヤーとしてライブ会場で暴走することに始まり、その勢いのままプロデュ―サ―としてやみくもにピアノを叩きまくり、それをスタジオ音源としてCDに収めるまでに堕ちてしまった。

そんなここ10年くらい続いた負のスパイラルにいたミスチルが、新作『REFLECTION』には一切いない。
復活した、そして生まれ変わった、ミスチルが、音楽を鳴らしている。

 

音が楽しい。まさに音楽だと思う。ギターにベース、ドラム――すべてはいきいきとその音を鳴らしてる。アレンジも適切な状態にある。ボーカルもベストテイクが収められている。
何より、メンバー4人の表情が音から伝わる。「そんなの当たり前じゃないか」と思われそうだけど、ミスチルに限っては革命的な事実だと思う。MUSICA鹿野氏もラジオで言及していたが国民的ロックバンド「Mr.Children」という広げ過ぎた看板を、Mr.Childrenメンバーが奪取している。誰のものでもない、Mr.Childrenという集合体を大切にしようという熱意が伝わってくる。ツアーでもその想いは伝わってきたし、それが何より嬉しかった。ステージでメンバーが向き合ってギターをかき鳴らす、ドラムを叩きながら曲のカウントをする。間奏でベースがゴリゴリとメロディを刻む・・・。

Mr.Childrenの音楽はMr.Childrenが好きな人の元に届いて、愛されるものだけど、Mr.Childrenというバンドは「大衆」のものでも「プロディ―サ―」のものでもなく、メンバー4人の居場所だと、メンバーは強く思っているはず。※レコーディング風景を収めた特典CDをみてもそれは分かる

桜井さんは自信を取り戻した。ap bankスピッツのアクトをみて、サマソニでの自分たちを思って、彼は本当にいろいろ思っていたはず。その思いを『REFLECTION』で形にした事実、凄いエネルギーを使ったと思う。実際、彼は強くなったと思う。ツアーでの「足音」「未完」など魂がこもっていて、本当に痺れた。

とにかく、今のミスチルが楽しい。歌っている歌詞に共感できる、信じられる。チープじゃない。
何度もファンから脱落しそうになったけど、ここまで待ってて本当に良かった。
人生、捨てたもんじゃなかった。

Mr.Children『REFLECTION』

オリジナルアルバムとしてはあまりにも振り幅があり過ぎて体を成してないけど
「新しいミスチル」がコンセプトだと思ってる。
1曲1曲、本当にワクワクする。

www.reflection2015.com

「過去のミスチル」に生きていた人は、是非戻って来てみてね。
「現在のミスチル」が一番好きと呼べるかもしれない。